英国上流会の子女が社交界デビューし、結婚相手を探すひと夏を描いたNetflixのドラマ「ブリジャートン」から、スピンオフが出たと知り、何となしに見始めた「クイーン・シャーロット~ブリジャートン家外伝~」。
「ブリジャートン」の本編それ自体の感想は、面白いし衣装はきらびやかだしお金かけて作ってるな~。あと、出てくる男女は当然みんなハンサム&きれいな人ばかりだし、肉体美もなかなかすごい(笑)
でも結末は見えているし、正直そこまで良い!という思いはなかった。
まぁ、それでも見ているんだけど。
だからスピンオフ版も「あの偉そうな女王が主人公か~(女王だから偉そうじゃなくて偉いよね…)。面白いんかなぁ~どうかな~」と見始めたのだけど、どんどんハマって一気に見終えてしまいました。そして最終話は最初から最後まで涙が止まらない自分に驚いたので、今回書いてみようと思った次第です。
あらすじ
イギリス国王ジョージ3世に嫁ぐことになったドイツ出身のシャーロット王妃の半生を綴った6話にわたるドラマシリーズです。
史実に基づきながらも、本編の最初に注釈があるように大幅に脚色されているフィクションです。
世界史の授業を1年しか受けていない私には、違和感もなくドラマに入り込めましたが、西洋史に詳しい人にとっては抵抗があったりするのかしら。
賢い女性ながら、まだ17歳で異国の女王となる運命を背負ったシャーロットは結婚したくない。
でも自分の国(ドイツ)のためにも結婚するしかない状況。ジョージ王は、結婚式当日に初めて会い、意外といい人かも?この人となら大丈夫かも…と思いながら挙式するも初夜からジョージ国王は彼女を宮殿に残してどこかへ行ってしまう。来る日も来る日も広い宮殿で自由もないままに一人過ごす彼女は不満を募らせていく。
国王の母は世継ぎを・・・とせっついてくるけれど、当の本人のジョージ国王が会いに来る気配もない。一度会いに行ったら天文台で夢中になって星を見ていて追い返される始末。
そもそもなぜ夫婦となったのに一緒に暮らさないのか?
そこにはジョージ国王が抱えるどうすることもできない秘密があって・・・
こんな始まりの二人が如何にして愛を育み、世継ぎを生み、更に国を新しい方向へと変化をもたらしていくのか。
「ブリジャートン」の時代と若きシャーロット時代とを行ったり来たりしながら、シャーロット女王として、母として、妻としての彼女の葛藤や諦め、そして強い決意が描かれています。
注目!もう一人の主人公
ブリジャートンを見ていて最初に「ん?」と思った点はこの女王がアフリカ系の人種であったこと。そして描かれる上流社会には、インド系、アジア系など非白人の人々が多く存在します。
今まで見てきたドラマや映画でも英国貴族といえばいわゆる白人しかいなかったので、これは自身もアフリカ系アメリカ人である脚本家ションダ・ライムズが敢えてキャスティングをして多様な人種を平等に扱っているのかな?と思っていました。
ただ、どうやら当時実際にアフリカの王室の子息は英国の寄宿学校に通い、上流社会で生活していたという資料があるらしく、そこからションダが生み出したのが、ダンベリー卿とレディ・ダンベリーとのことです。
知らなかった~。
そして、このレディ・ダンベリーなのですが、彼女がまた今回の主役の一人だと思います。
シャーロットが女王になるがために同じ非白人である貴族?であるシエラレオネ出身の彼女と、(恐らく30歳以上年上の)夫は急に”Lord”の爵位を与えられることになります。
喜ぶのも束の間、いくら爵位を与えられても、そこには越えられない人種の壁があり苦しみます。
更に夫が急死したことで、今後の自分たちは現在の地位を維持できるのか、「こちら側」である非白人貴族の期待を背負い、奮闘していきます。
更に、まだ結婚とは、子どもを授かるとは?ということを理解していない若きシャーロットの良き相談相手として、友人として信頼関係を築いていきます。
このアガサさんがまたかっこいいんですよ!!
寡婦となった女性が生き残る道は新たな夫を見つけること。
という時代において、自ら王の母である王女と交渉し、自分の足で生きることを選ぶその様が堂々としていて我が道をいく姿が、とてもかっこいい。
あとね、自己チューなってもいいとこでぐっとこらえるところとかね。
心に残るセリフたち
ここからは、ドラマ内でグサッ来た台詞たちを一挙どどん!と(勝手に)厳選。
見た人ならわかるはず。というか、語り合いたい~
I will stand with you between the heavens and the earth, i will tell you where you are, do you love me?
“Queen Charlotte” , Charlotte, episode 6 , Netflix
ここで私は涙が崩壊しました( ;∀;)
” We did it, Your line goes on.”
“Our line .”
“Queen Charlotte” ,Chalotte & Geroge, episode 6 , Netflix
はい、二人の愛情。当然のことなのに、ジョージが言うから強い意味のあることば。
I want to be gardened.
“Queen Charlotte”, Violet, episode 5 , Netflix
これはtちょっと番外編(笑)
「こんな言い回しある?!」わぉ!って感じの大人表現でしたねぇ。
We are women. And the men who hold our fates hardly conceive we have desires, dreams of our own. If we are ever to live the lives we want, we have to make them conceive it. Our bravery. Our force of will will be their proof.
“Queen Charlotte”, Agatha , episode 5 , Netflix
お茶をしながら、「こんな人生を望んでいたわけじゃない」とこぼすシャーロットに対してレディ・ダンベリーが放つこの言葉。
この言葉でシャーロットは気付き、心を決めるんですね。
Love is not a thing one is able or not able to do based on some magic.
“Queen Charlotte”, Charlotte , episode 5 , Netflix
Some chemistry. That is for plays. Love is determination. Love is a choice one makes. You take someone in marriage, and you choose to love them. You do not give yourself any other option. Because marriage is difficult. Full of pains. And the life of a royal is lonely. So you grab someone, and you hang on. You love, and you love hard because if you do not, you are lost.
シャーロットが決めた相手と結婚(させられる)することになった息子が母、シャーロットに「結婚すること、相手を愛せるかどうか自信がない」と弱音を吐いたときにシャーロットが毅然として放つこのセリフ。このセリフからも、ジョージのすべてを受け止めて、愛し15人の子どもを生んだ母として、女王としての彼女の強さを感じます。
If what we have is half, then we shall make it the very best half.
“Queen Charlotte” , Charlotte, episode 6 , Netflix
「自分は一人前の人間でない。そんな自分と一緒にいるべきではない」とシャーロットを遠ざけようとするジョージに対するシャーロットの言葉。心にずっしり響きました。
I’ve spent my life breathing someone else’s air. I do not know any other way. Now it is time I learn to breathe all on my own.
“Queen Charlotte”, Agatha , episode 6 , Netflix
シャーロットの兄に求婚されたアガサの返事。3歳の頃から夫となる人が決められ、彼の好きなものに自分を合わせて生きていくことしか知らなかったアガサが独り立ちをすることを決めたこの言葉。やっぱかっこいいわ。
とりあえず見て欲しい
セリフひとつひとつグサッとささるんですね。時代背景も、国も環境も全然違うのだけれど、どの台詞にも現代社会を生きる私たちが自らをふと顧みる気持ちにさせる、そんな良く練られた言葉たち、そしてストーリーだなぁ…と。
見て何を感じるかって、当然人それぞれだと思います。
「英国女王の成長ストーリーなんて・・・」と思い込んでいる人ほど、だまされたと思って見て欲しい!
あと、俳優たちも表現、表情が素晴らしいんですよ。。。
あとあと、いつもシャーロット女王の5歩後ろをついている従者のことも気になる。
劇中の音楽も、またシーンを盛り上げて最高なんですよ。音楽のパワーを感じる(語彙力)。
これに関してはまた今度書こうかな。
ぜひとも、日本でもこの作品が多くの人に届きますように★★★
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